Side by Side

――Prologue――

 コンロの上の鍋から、おいしそうな匂いが漂ってくる午後6時。部屋の片付けをしていたときに出てきた、高校の卒業アルバムを見ながら、俺――飯島祐樹――は、あの頃はこんな事になるなんて思わなかった、などと昔を振り返っていた。

 とは言っても、決して、今の状況が嫌なわけじゃない。いろいろあったけど、すべては落ち着くべきところに落ち着いた、気がするのだ。

「ただいまー」

 さて、同居人が帰ってきたようだ。

サークル「Peak to Peak」では初の発行物となる「Side by Side」の、プロローグ~第2話を公開中。